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2006年01月18日
「属人的なものの価値・・・例:聴き方」
本日後輩(新人)と同行していて、改めて気づいたこと。
上お得意先様の社長との商談に何度目かの同行をしたのだが、
私と話しているその社長の視線が彼にチラチラと向いている。
その回数が、毎回増えていっているのだ。
これは嬉しい。
その社長の中で彼の存在が認知されてきている、ということである。
私と同行する時はどうしても、私と社長との会話がほとんどを占めて
しまうのだが、その中でも社長が彼に対して配慮してくださって
いるのが分かる。
これ、当たり前のようであるが、実際はそうばかりとも限らないのだ。
同行の回数を重ねても、全く眼中に入れてくださらないこともある。
存在がお相手の中で認知されないのだ。
では、なぜその社長は彼に視線を送ってくださったのか。
答は、彼の「聴き方」にあるように思う。
一般的に社長という人種は、無意識にその鋭い感性で人を見抜いて
しまう。
見抜けはしなくても、ご自身のアンテナで人を「値踏み」するものだ。
ほとんど直接はコトバを交わさない空間で、しかもコトバを発しもしない
彼に対し、視線で配慮を示してくださった。
彼の誠実な「聴き方」に、「何とかお役に立ちたい」という
「姿勢」を感じ取ってくださったのだろう。
もちろん、単に「聴き方」が良いという話ではなく、誠実な姿勢が
「聴き方」に表れ、それをお相手が感じ取ったということである。
少し脱線するが、よくある新人(若手)営業マンの失敗のパターンは、
その居心地の悪い空間に辛抱し切れず、自分本位の「熱意」を
前面に出してしまい、合いの手が差し伸べられる前にしゃしゃり出てしまう
ことである。その行動によって、お客様がシラけてしまうことが多い。
さてさて話を戻すが、
時代がいくら変化しようとも、特に商売(ビジネス)は、
人が「判断」「決定」をし、そして複数の「選択肢」の中から
行動を「選択」し、その「選択」に対し、本人もしくはしかるべき役割(立場)の人が
「責任」を取るものである。
常に、「人」が介在するのだ。
昨今、「システム」や「仕組み」というコトバが氾濫している。
「効率」って言わずもがな大切だし、そのための「システム」等に
ついての重要性は重々認識しているつもりだが、ともすれば
「価値観」や「在り方」、「姿勢」という根源的なものを蔑ろにしているように感じる議論には、違和感を覚えることがある。
先述の「システム」や「仕組み」は、あくまでも人が定めた目的を
遂げるための「手段」「方法論」の一つに過ぎないのに。
それらの土台にある「価値観」「在り方」「姿勢」を自問自答し、
深め磨くことをしていて初めて、賢明な「手段」「方法」を選択
できるように思うのだ。
「手段」「方法論」のずーっと手前の、『大前提』であるはず。
(評論家マル出しで恐縮だが、ここ数日で明るみに出てきた例の
上場企業の実態をみると、つくづくそう思う)
改めて、いくら時代が変化しようとも、「人に属するもの」が、
最も信じるに値する「判断基準」だと思う。
そしてその「判断」により選択した行動の結果に対し、粛々と
「責任」を負っていく、その試行錯誤、七転び八起きの過程
そのものが「成長」であると思う。
お客様からの共感を感じた今日の空間で、人様の『心』を動かす
のは、「システム」や「仕組み」ではなく、「アナログ」で「属人的」な
ものであると再認識した次第である。
余談だが・・・、
当然、健全な「価値観」を土台とした上で、人の『心』に届く伝え方・
表現は、上述の話とは別に、社会人としても必要な「技術」であり、
それを身に付けるための過程を「システム化」「仕組み化」すること
はとても大切である。
そのためにも、まず「属人的なもの」と「非属人化できるもの」とを、
健全に区別することが重要だ。
念のためにコトバの定義を確認するが、『属人的なもの(=その
人でないとできないもの)』とは、他の手段に置き換えることができず、
どこまでも人に属するもの、である。
(それを身に付ける鍛錬を、「システム」「仕組み」で解決できる領域も
ある)
例えば、「責任の範囲(リスクの範囲)」を見極めた上での「判断」や「行動
の選択」などだ。
もう一方で、『非属人化できるもの(=その人でなくてもできるもの)』は、
あらゆる手段を活用し、まさに徹底的に「効率化」する必要がある。
これからはますます、「お客様が必要性を認識しないコストをお支払い
してくださることはなくなっていく」のだから。
それらを「分類」する能力、「判断」する能力が、まさに「属人的な」能力
だが、これらを磨き高めて実践することこそ、皆で乗っている船の船頭
さんであるマネージャーの、最も重要な仕事であろう。
(文責:常務 田畑良一)
投稿者 seiun : 2006年01月18日 23:38